信じるから開ける!恋愛占い
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行きつけの居酒屋で彼女と出会う
出会いのきっかけとなったのは行きつけの居酒屋でした。
職場の先輩に紹介してもらった、住まいの最寄駅の路地裏にあった個人経営の和食屋さん。
マスターが気さくな良い人で、料理もうまく値段も良心的。
すっかりその店を気に入った僕は休みの前の日には1人でも通うほどでした。
そこで出会ったのがHちゃんでした。
僕より3歳年下で、既婚子なし。旦那さんは美容師らしく平日休みで仕事の日は帰りが遅いため居酒屋でのバイトをしていた彼女。
色白な黒髪でスラッとしたスタイル。とても魅力のある女性でした。
自分は独身、相手は既婚者、飲みに行って愚痴をこぼし合う仲に…
こじんまりとした店ながらマスターの人柄か繁盛していて、バイト中は中々話すタイミングがなかったけど、店に通ううちにバイト上がりの彼女と一緒に飲むことが何回か続きました。
最初はバイト先の居酒屋で一杯飲んで解散していましたが、次第に話が盛り上がるようになり次第に店を移して2人で遅くまで飲むことも。
そうやって飲む回数を重ねるごとにお互いに関係が深まったのか、彼女のバイト先の居酒屋や大勢がいる場ではしないような話をお互いにするようになりました。
僕は元カノにかなり粘着されながらなんとか別れたところで恋愛に疲れていたことや田舎から出てきて一人暮らしをしていること、近くに友達も少なく飲むことで暇な時間を紛らわしていることを彼女に伝えました。
特段悩んでいたわけでもないのですが、微笑みながら話を聴いてくれる彼女のペースに乗せられ、溜まっていた愚痴をポロポロとこぼしてしまいました。
そして彼女も一通り僕の話を聴き終えると次第に自分の話をするようになりました。
同い年の旦那さんとは美容学校で出会い、社会人1年目の時に結婚。今は結婚3年目。
別々の美容院で勤めていたが、Hちゃんは人間関係に疲れて退職。
正職員で働くほどやる気はないが時間を持て余しているのでバイトを始めたとのこと。
旦那さんはお店ではまだまだ下っ端らしく、閉店過ぎまで雑用をしてからヘアカットの練習をして帰ってくるので帰りも遅く、帰ってきてもすぐに風呂と食事をすませて就寝。
朝早く起きて出勤してしまう、とこぼしていました。
旦那さんのことは好きだが夫婦の営みもなく、日中は1人で家事を済ませる生活が物足りないと、寂しそうに話してくれました。
お互いにどことなく寂しさを抱えていたようでした。事情は違えど決して色恋がしたいわけではなく、ただ寂しさと虚しさを抱えていような。
たったそれだけでしたが、一線を越える動機としては十分でした。
会う回数を重ね、関係は深くなる一方
何回目のサシ呑みの後だったかは覚えていませんが、お互いに寂しい気持ちを吐き出したあと、なんとなくお互いに帰ろうとしない日がありました。
「ホテル行こう」
ちょっとした沈黙の後、初めて誘ったのは僕。別に緊張も興奮も感じられない質素な誘いに彼女も静かに「うん」とだけ答えました。
会計を済まし、タクシーで近場のホテルへ。
興奮も緊張もない。お互いにシンプルに寂しさを紛らわすために、その為に丁度良い相手がいた。それだけでした。
シャワーを浴び、僕らなりに誠心誠意愛し合い、抱き合って眠る。感情とは裏腹に身体の相性は良いようでした。
朝起きたらもう一度シャワーを浴び、お互いに帰路へ。
旦那さんに対して朝帰りの説明をどうしてたかなんて聞いたこともありません。
無関心だったのかも知れません。
この日以降、僕らは毎週のように関係を持ちました。飲みもせず最初からホテルで合流することも。
でもどれだけ回数を重ねても深入りすることなく、寂しさを紛らわせるだけの関係。会うのは居酒屋とホテルだけ。でもとても心地の良い関係だった気がします。少なくとも僕にとっては。
そんな関係は半年ほど続きました。
田舎に帰ることになり、関係は自然消滅に…
ある日僕は田舎に帰ることになりました。健康上の理由で仕事を続けるのが難しくなり、元々の家業を継ぐことにしました。自分で下した決断です。
理由も理由だったので2週間ほどで退職と引越しを済ませることになり、あれよあれよと時が過ぎて行きました。
その間に1度お店に行き、マスターと常連さんに報告。Hちゃんには退職を決めた日に伝えていましたが、その日もバイトをしていたので初めての感じで報告のフリ。特に顔色を変えてはくれませんでした。その日もいつものように関係を持ちました。
次に会う日の約束を取り付けて解散。その日が僕らの関係の最後の日です。
そして当たり前にその日が来ました。
荷物の運び出しと部屋の引き払いも済み、職場への挨拶も済ませ、その日は夕方から彼女とホテルで合流しました。
いつもと違うことと言えばホテルの中でお酒を飲んでることと、時間がある分回数が多かったことぐらい。感情に浸ったりすることもありませんでした。
行為が終わればいつものように眠り、朝を迎え、シャワーを浴びて。チェックアウトから駅前で解散するそのときまでいつもと同じように別れました。
僕はそのまま新幹線に乗り田舎へ。
彼女のその後は別れたその瞬間から何も知りません。
お互いに連絡を取り合うこともなく、もう1年になりました。
とても淡白で、素直で、無邪気な僕の不倫はこうして終わりを迎えました。