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20代前半の頃です。相手は一回り年上の、元職場の上司でした。
偶然にも家が近いことを後程知り、互いの家を把握していました。
そして奥様が不在のとき、家に呼ばれました。
相手が家庭のことで精神的に参っていたのを知っていた私は、自分に何かできないかという気持ちでいました。
新卒の間もない頃でしたが、すでにたくさん助けてもらった恩があったからです。
しかし、自分は相談役にもなれない小娘であることも自覚していました。
その恩を返すことが、自身の身を委ねるという結果になってしまいました。
家に行き一晩過ごした後、相手は電話で「好きだよ」と伝えてくれましたが、嬉しさもあった反面、相手の言葉を信じていない自分もいました。
しかし、この状態に酔っていたようです。
いかに一目につかぬよう、会社の人に見つからぬよう、2人きりで会うか。
それからは、私の家か、外泊するかのほぼ2択になりました。
相手はこれをスリリングな体験だと思っていたかもしれませんが、私はいつもビクビクしていました。
罪悪感ばかりです。
それでも一緒にいたのは、相手を好きだと思っていたこと、断る勇気も、嫌われる勇気もなかったからです。
私はただただ部屋から連れ出されていきました。
そのような関係が半年あり、そこからぱったり半年ほど、呼び出しが来なくなりました。
私から連絡することはなく、職場で無駄に話しかけることもありませんでした。
ご家族とうまくいっているなら、それが一番いいと思っていました。
そしてこの間に、私は彼女がいる同僚に片思いをしてしまいました。
なぜ相手がまた私を連れ出したのか分かりません。
また精神的に参っているように見えました。
私も不毛な片思いに精神をすり減らし、自暴自棄になり相手についていきました。
好きな相手を想いながら、他の男と行為をする。
そのような小説があったなとぼんやり考えていたら、抱かれている最中に同僚への気持ちがあふれて涙が止まらなくなってしまいました。
さすがに相手の手も止まり、その夜は休むことになりました。
翌朝、すっかりどうでもよくなっていました。
私たちはまた、たびたび会う仲となりました。
相手が、旅行へ行きたいと計画を立てていました。
私は「いいですね」と答えただけで、すべて任せました。
初めての遠出で、人目を気にせず観光できる。
私の気持ちは同僚に向いたままで、虚しいだけでした。
仕事で疲弊していた私は後部座席に転がり、本当に運ばれているだけの気分でした。
人里離れた温泉街で、わたしはなるべくはしゃいだフリをしましたが、どうやら限界だったようです。
1週間後、平日の早朝に別れのメールを送りました。
すぐに電話がかかってきました。
「もう疲れました」と告げ、出勤に間に合いませんねと電話を切りました。
年度末、私は異動になりました。
相手とも同僚とも物理的に離れ、これらの関係に終止符を打ちました。
ずっと罪悪感を持っていたので乗り越えたような経験はありませんが、同級生の男性が「こういった関係は、男性から別れを告げないから、終わらせるなら、自分からだよ」と言っていたのがずっと頭の中に残っていたので別れを切り出せたのだと思います。
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